経営陣が仕掛ける組織の一体感醸成と、その先にあるカルチャー形成への道筋 ~ピアボーナス制度「gumi coin」の活用~

gumiはこれまで、事業の急成長にともなう組織拡大の中で、様々な組織課題に直面してきました。今回は、その中でも「組織の一体感の醸成及びカルチャー形成」という課題にスポットをあて、経営陣がその課題にどのように向き合い、改善を図ってきたのか、ピアボーナス制度「gumi coin」の活用事例を通じてご紹介します。

組織の一体感醸成に向けて

組織拡大で生まれた経営と現場の距離

gumiは、現在創業14年目を迎え、従業員規模も海外を含めて850人程度にまで拡大しました。モバイルオンラインゲーム業界の荒波にもまれながらも、経営と現場がタッグを組むことで、オリジナルタイトルの長期運用を実現し、IPタイトルも好調を維持しています。

しかし、これは最近の話で、少し前までの状況は大きく違いました。

かつてのgumiは、モバイルオンラインゲーム事業の成長にともない組織の規模が急激に拡大したことで、全社的な一体感が失われつつありました。特に大きな課題としてあったのが、経営と現場の距離感です。本来、密な連携が必要となる両者でコミュニケーションが十分に取れなくなり、お互いの状況を把握しきれていませんでした。そのことが要因となり起こってしまった事件のひとつが、2015年に起きた経営危機、いわゆる「gumiショック」です。

現場との繋がりの模索

その経営危機を機に、経営陣は本格的に組織改革に着手しました。曖昧だった人事評価基準の明確化や、現場幹部層も交えた経営合宿の実施、その他にも、経営から現場への地道な歩み寄りを積み重ねていきました。
そして、およそ3年かけて現場幹部層からの信頼を獲得し、一体的な組織運営が成り立つようになったのです。

一方で、当時の段階では、経営陣がおよそ500人もの現場スタッフ層との距離を縮めることまでは困難でした。もちろん、日々会社経営に向き合いながら、従業員一人ひとりにまで目を行き届かせることは現実的ではありませんが、経営陣と現場幹部層の結束が強まっただけでは、真に一体感のある組織とは言えません。そのような状況のもと、経営陣は、スタッフ層とも距離を近づける方法を模索していきました。

そこで目に留まったのが、従業員同士のコミュニケーションを可視化できるピアボーナス制度です。

経営と現場の一体感を育む、活用の秘訣

制度名「gumi coin」として活用を開始したピアボーナス制度は、贈られたポイントが金銭として給与に反映されるというインセンティブの仕組みも奏功して、導入当初から盛り上がりを見せました。そして、これまでは表に出なかった従業員のちょっとした行動や取り組みが、多くの投稿によって「見える化」され、それが上司や他部署の人、さらには経営陣の目にも届くようになったのです。

加えて肝心だったのは、「拍手」機能(※)です。
経営陣自らが積極的に「拍手」を送ることで、従業員の仕事ぶりを見ている姿勢を伝えられるようになりました。実際、毎月最も多く拍手を送っているのは取締役CFOの本吉で、従業員からは、「役員も自分の仕事を見てくれているのでモチベーションが上がる」という声もあがっています。
※送られた投稿に誰でも拍手できる「いいね」機能のような仕組み。

また、「gumi coin」の活用をさらに促進させ、多くの行動を「見える化」するために、「拍手」の多かった投稿事例を毎月全社に向けて紹介したり、1ポイントあたりの金額を増やすキャンペーンも行ってきました。

サイコロを振って、出た目の数によって1ポイントあたりの金額を変化させるキャンペーン
※現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえ、全社集会の実施は控えています。

こうした取り組みの効果もあり、2018年の活用開始以降に投稿されたメッセージ数は、累計11万件を超えるまでになりました。

「gumi coin」を通じて、経営陣は現場スタッフ層の日々の仕事ぶりが見えるようになり、現場スタッフ層は経営陣の現場と向き合う姿勢を感じられるようになりました。また、従業員からも「同僚にちょっとしたお礼を伝えるときに気軽に使えて便利」と好評で、感謝の投稿を通じて従業員同士のコミュニケーションも活性化されました。
「gumi coin」は、組織の縦の繋がりのみならず、横の繋がりの強化にも効果を発揮し、風通しの良い組織の形成に寄与したのです。

カルチャー形成への道筋

Value浸透ツールとしての「gumi coin」の活用

「gumi coin」の導入からしばらくして、組織改革の一環で取り組んでいた企業理念のリニューアルが完了し、新たにMission、Mind、Valueが策定されました。そこで生じた次なる組織課題として、従業員の行動規範たる新たなValueを社内浸透させ、gumiらしいカルチャーの形成を目指す必要がありました。

ここでも、多くの従業員にとって日常となっていた「gumi coin」に着目し、ハッシュタグ機能を活用することになりました。まずはValue自体を認知し、覚えてもらうことを目標に、たとえば、Valueの一つである「Unite as One」を体現した人にコメントを送る際には、以下の投稿事例のように「#Unite_as_One」のハッシュタグを付けるよう推奨しました。

さらに、そのValueハッシュタグの活用を促すため、Valueハッシュタグ付きの投稿数に応じて1ポイントあたりの金額をアップするキャンペーンも定期的に行っています。当初、投稿全体の中でValueハッシュタグ投稿の割合は1割程度でしたが、このキャンペーンにより、3割にまで増加しました。

Valueに基づいたカルチャー形成に向けて

「gumi coin」や、その他のValue浸透取り組みの成果もあり、着実にValueの社内認知は高まっていきました。
一方で、「Valueに基づく正しい行動とは何なのか」の理解はまだ十分になされていない状況です。
Value浸透の次のステップとして、従業員のValue理解を深め、「業務を行ううえで取るべき行動」が一人ひとりの中で明確になっている状態を実現することが重要と考えていますこれにより、業務において「どのような行動がgumiで求められ、評価されるのか」に、自身も、そして周囲も迷いがなくなっていきます。

今後は、これまで蓄積した「gumi coin」の投稿も参考にしながら、Valueを体現する行動事例を具体的に言語化したり、人事評価等にも反映させていくことで、Valueに基づいたカルチャー形成を目指していきます。

※「gumi coin」は、Fringe81社のサービス「Unipos」を利用しています。