gumi初の学生起業家支援!“Web3 Startups” 一期生卒業までの道のり

6月6日(火)、gumiと、gumiの投資先であり『My Crypto Heroes』を始めとするブロックチェーンゲームの開発・運用実績を有するdouble jump.tokyo株式会社(以下「DJT」)が共同で運営を進めるWeb3 Startups(以下「ウェブスタ」)一期生の最終成果報告会が開かれました。

学生起業家を支援するという「ウェブスタ」はどのような思いで創設され、一期生はどのような道のりを辿り、何を得たのか、お届けいたします。

「ウェブスタ」とは

Web3領域にて起業を目指す学生等を支援するプロジェクトです。

gumiとDJTが共同で創設し、主な支援内容は、1件あたり1,000万円の支援金の支給や、Web3に関する情報やネットワークの提供、ワーキングスペースの貸与等であり、事業化に成功した際には追加の資金提供の検討も行います。

「ウェブスタ」創設への想い

Web3は次世代の成長産業として、日本政府においても重視されている領域です。

現在Web3領域を牽引しているのは、世界各国の若手世代。しかし、日本においては、若手世代が起業を行うための環境が十分に整備されているとは言えません。特に学生が起業を目指すにあたっては、資金面や経験面の不足等、様々な課題を有しているのが現状です。このような課題を解決し、若者と共に日本のWeb3業界を盛り上げたい!そんな想いがブロックチェーン技術を用いたアプリケーション開発を行うDJTと、投資やコンテンツ開発等の分野でブロックチェーン事業を展開するgumiの両社で一致し、「ウェブスタ」を創設するに至りました。

一期生に選ばれたのはWeb3を愛する3組!

昨年の夏から3か月間に亘る選考を経て、学生たちが練りに練った多くの応募の中から書類審査と2度の面接を乗り越え、熱意とアイデア実現に向けた行動が評価された一期生が10月に決定しました!

選考で重視されたのは、Web3領域への熱意の高さとWeb3産業全体の発展に資する社会性の2点!

まずは選考を勝ち抜いた3組の一期生をご紹介します。

田中優成さん(関西大学)

≪提案事業≫
クリエイターが自身のソーシャルトークンを発行し持続的な資金調達をサポートするプロトコルで、クリエイターの利益を守る仕組みを提案しました。

≪選考ポイント≫
日本のコンテンツへの愛に溢れ、試行錯誤を重ねる行動力が傑出していた点が評価されました。

帽子さん(京都大学)

≪提案事業≫
ブロックチェーン技術を中心とした次世代の技術を駆使し、違法アップロードへの強力な防御策の構築を提案しました。

≪選考ポイント≫
自身がクリエイターとしても活躍し、その経験を元にした課題をビジネスに落とし込む発想力と個性的なアプローチに目を惹かれました。
事業化に向け、もう少しステップがありますが、プレゼン力等、起業家としての魅力も兼ね備えています。

高橋 勇作さん(明治大学)・ 井関 竜太郎さん (立正大学)・木村 駿冴さん(富山大学)・MIA MD BADHANさん(明治大学)

≪提案事業≫
Web3ソーシャルグルメアプリで食のデータベースの構築を掲げました。

≪選考ポイント≫
4人のチームでWeb2アプリの制作経験もあり、α版のローンチ等、既に事業化に向けて具体的なアクションを取っている点が、熱量の高さも含めて評価されました。

事業化へ向けて試行錯誤の8か月

具体的な事業化へ向け、プロジェクトメンバーを自力で調達しなければならない一期生。いざメンバーが集まっても方向性や熱量の違いに苦戦し、進捗管理などマネジメントとしての難しさの壁にぶつかったりと困難の連続でした。
途中、当初のアイデアに行き詰まり、大きな軌道修正や、まったく別のアイデアに取り組む“ピボット”を余儀なくされるなど、目標を失いかけて一時はウェブスタ辞退を考えたという一期生もいました。

しかし、そんな彼らを支えたのは、「Web3を使って困っている人を助けたい」という強い気持ち。

海外を飛び回りイベントに参加して最先端の技術やトレンドに触れたり、コミュニティに飛び込み積極的にヒアリングを行ったりして、さまざまな角度からWeb3領域での課題の抽出と解決の糸口を考え抜きました。

gumiとDJTも、常にフォローできる体制を整えてきました。

Discordや、オンラインなどで常に壁打ちができるようにして、イベント情報や、最新動向の共有、中間報告会なども開き、両社の役員が直接フィードバックを行う機会も設けました。

最終報告会

6月上旬に開かれた最終報告会。挫折を経てたどり着いた現状の事業を報告しました。

田中優成さん(関西大学)

(事業内容)
応募時のアイデアから2度のピボットを経て、田中さん自身が15年以上のプレイ経験があり、その魅力をよく知るカーレーシングゲームにフォーカス。
“MOD”と呼ばれる、ユーザーが自身のコンテンツをプラットフォーム(ここではゲーム)上で自由に利用できるプログラムを例に挙げ、3DCGクリエイターがブロックチェーン上で作品をデジタルアセットとして自分の作品を売ることができるポートフォリオを作ることでクリエイター自身が作品の管理ができ、オンチェーン上のキャリアを構築することのできるプラットフォームを開発しました。

(現在地と今後)
現在は一人で開発しており、最終報告当日の朝になんとか形になった段階ですが、3~5年後の市場に必要とされるものを先回りして開発することに挑戦しています。既存のゲームとの協業を目指し関係者やコミュニティとも関係を作り、自身のサービスを売り込んでいく予定です。

(総評)
最新のチェーンを利用したり、開発者として最先端のプログラミング言語知識を取り入れたりしている印象。クリエイターフレンドリーだがユーザーフレンドリーではないギャップをどう埋めていくかが大事ですが、既に具体的なサービスを開発されていて、MOD専用マーケットプレイスを作る!という強い意志を感じました。

(「ウェブスタ」で得られたもの)
「ウェブスタで採択されたからこそ、資金面で今まで参加することができなかった世界中で開かれるWeb3のイベントに参加することができ、最先端の技術に触れることができただけでなく、現地でしか会えないような人々とネットワークを作ることができ、非常に刺激を受けました。
また、社会人経験のない僕に、コミュニケーションの仕方、営業のノウハウを教えてもらえたことも有難かったです。また、ウェブスタの運営も、DiscordやTelegramなどWeb3界隈でよく利用される情報収集ツールでのやりとりをすぐに導入してくれたり、最新の情報を提供してくれたり、 僕たちが動きやすいように歩み寄ってくれるのを感じました。おかげで作業に集中することができ 精神的にも安心感を持って取り組むことができました。
みんなで盛り上げていくことが大事だと思うので2期生がいたら先輩としてサポートしたいです。」

帽子さん(京都大学)

※ご本人希望により顔写真非公開。直筆イラストで代用

(事業内容)
違法ダウンロードを防止するという応募時のアイデアは技術の困難さから断念し2度のピボットを経て、まずはWeb2サービスで形にしました。
本質的には「クリエイターの収益を守る」ことに立ち返り、Web2サービスではあるものの、クリエイターが自身の違法アップロードされたゲームサイトに公式サイトへ飛ぶためのリンクを貼ることで、製品版の購入に繋げる上、広告収入も得られるアフィリエイトサービスを開発中。

(現在地と今後)
自身もクリエイターである帽子さんは、このサービスを自分の作品に取り込み、徹底的に検証してから、利用者へサービスを展開していく意向。その後、サービスの利用者を増やして収益安定化を図りながら、並行してWeb3実装のアイデアを練ることになりました。

(総評)
Web3要素がなくなってしまった点が残念。
既存のアフィリエイトサービスとの差別化も課題ですが、アフィリエイトを提供している企業がサービスを終了したら会社が傾いてしまう危険性と、市場規模があまり大きくないことが課題に挙げられます。
個人事業主としてなら十分な売上が見込めるかもしれません。ですが、ぜひ企業として10億円、20億円の売り上げが出るくらいのスケールになるようにさらに仕組みをブラッシュアップしてほしいと思います!
今後、帽子さんらしい形でWeb3要素を取り入れられることを期待します!

(「ウェブスタ」で得られたもの)
「僕は、他の一期生と違って、開発経験や協力してくれる技術者などの人脈などもなく、アイデア一本で選考に臨みましたが、アイデアの強さを評価してもらったのをきっかけに、ここまで来ることができました。アイデアだけでも磨けばちゃんと可能性を与えてくれるウェブスタの懐の深さを感じます。その分、選ばれた後がチームメンバー探しやマネジメントなど、一人で作業するのが好きであまり人と関わらないで生きてきた僕にとっては本当に大変なことばかりでしたが(笑)
「人を雇う」という経験は、なかなかできないことだと思うので間違いなく 今後に生きる糧となったと思います。一人が好きな僕が、ともに挑戦できる仲間を得られたことは人生のターニングポイントになりました。今回はWeb2サービスの発表となってしまいましたが、期待して支援をしてくださったgumiとDJTに恩返しができるよう、Web3サービスを提供するまでこれからも走り続けます!」

高橋 勇作さん(明治大学)・ 井関 竜太郎さん (立正大学)・木村 駿冴さん(富山大学)・MIA MD BADHANさん(明治大学)

(事業内容)
Web3ソーシャルグルメ×アプリで食の領域に挑戦しましたが、動きが速い市場の中でユーザー獲得に苦戦し、2度のピボットを経てWeb3領域の課題を考え抜き、既存市場の課題を解決するサービスを開発しました。
提供するサービスは「Qube」というWeb3における業務委託向けのソリューション。
背景としては、Web3での直接的な業務委託は、匿名相手との取引や紙の契約を締結できない取引が多いためトラブルに繋がりやすくコストがかかるという課題がありました。
それを、Qubeのシステムは、取引当事者の間に立ち、依頼者から資金を保管し、取引が完了するとQube を介して委託先に支払う、エスクローという仲介システムをデジタル化し、スマートコントラクトに落とし込んで実行します。
スマートコントラクトの活用により、トラストレスな決済やタスクの納品が可能になります。

(現在地と今後)
最終報告会時点で、既に顧客を獲得しており、リリースまで2週間を切っているところでした。テスト運用しながらユーザーからフィードバックを得てさらにブラッシュアップしていく予定です。市場規模は右肩上がりで大きくなっているので、スマートコントラクトの技術でチャレンジしていきます。

(総評)
応募時のアイデアからの劇的なピボット。すでにDJTにもこのサービスのニーズがあり、とても良いところに目をつけていると思います。短期間でここまでサービスとして成立するものまで仕上げてくれて脱帽です。まずは大手企業の導入実績を作れるようにサポートしていきますのでがんばっていきましょう!

(「ウェブスタ」で得られたもの)
「ブロックチェーン技術を利用したプロダクトを作っているgumiとDJTから、実際に事業者が抱えてる課題を近い距離感で生の声を深く教えてもらえて本当に嬉しかったです。 このプログラムに入ってNDA(秘密保持契約)を交わしてるからこそ、聞けたことだと思います。
中間報告から最終報告までの前後では、2週に1回のペースで壁打ちさせていただいてました。僕たちがどこの市場を攻めるのが正しい勝ち筋か、限られた時間のなかでフィードバックをしてもらえるなんて、ふつうの学生だったらあり得ないことだと思います。
また、プロダクトを使ってもらうために、企業に導入してもらうにはどうすればいいのか、企業のどんな立場の方にもわかってもらえるように プレゼンの仕方を指導いただけたのも非常に良い経験になりました。 チームとして最後まで一丸となって、よりよいチーム運営の形ができていったのも自信に繋がりました。
Web3でスタートアップに挑戦したいという人は面白くてワクワクすると思うので、もし2期生の募集があればぜひ挑戦してみてほしいです!」

スタートアップとして8か月を駆け抜けた一期生たちは、一様に「日本にいながらこんな経験ができるなんて思っていなかった」と、ウェブスタを通して得られたことを語ってくれました。

一期生それぞれが、現時点での事業内容を報告すると、gumiとDJTメンバーからフィードバックが送られ、一期生たちは次の施策に向けて意気込みを新たにしていました。

gumiブロックチェーン事業責任者「Jison」より

Jison twitterアカウント

Jison

gumiでは2018年よりファンド投資等を通じてWeb3領域の産業発展支援を行ってまいりました。しかしながら、その支援対象のほとんどは海外プロジェクトであり、日本発のプロジェクトは数件に留まっている状況でした。Web3は国家戦略的な位置づけとして、日本国政府からも期待を集めている領域ながらも、なかなか日本からサービスが生み出されないもどかしさがあり、これは受け身的に待っていても仕方なく、こちらから興味がある若者に直接働きかけていかねばならないと考えるようになりました。これが今回のインキュベーションプログラムたる”ウェブスタ”が誕生した背景になります。

とはいえ、まだまだWeb3の世の中的な認知度が低い中だったため、募集当初は「学生たちはWeb3に興味を持つだろうか、集まるだろうか」と不安がありました。しかし、そんな不安は全くの杞憂でした。
募集に先駆けたイベントには、遠方から駆けつけてくれる学生もいましたし、募集を開始すると、ゲーム系だけでなく、DeFi系や、NFT系、プラットフォーム構築など、ジャンルを問わず熱意のこもった多数の応募をいただき、Web3に熱を注ぐ若者がこんなに多くいるのかとわかりました。
改めて学生起業家を支援することは日本のWeb3を盛り上げることに繋がると実感する機会になりました。

初めて迎えた一期生たちは、まだ手探りのプロジェクトの中、私たちのフィードバックを真摯に受け止め、全力で駆け抜けて考え抜いてくれました。
一期生たちは、最終報告会を区切りに一息つくつもりは全くなく、それぞれ事業を進める手を止めない姿勢に胸が熱くなります。
いったん「卒業」という形になりますが、卒業生が花開いていくまで今後もサポートを続けていくつもりです。

“ウェブスタ”は、今回の経験を踏まえ、学生起業家たちによりよいプログラムを提供し、若者とともに日本のWeb3を盛り上げていけるよう、パワーアップしてまいります!

おわりに

約8ヵ月をかけたウェブスタ一期生は卒業を迎えました。しかし、これからが「ウェブスタ」の本当の始まりです。Web3への情熱をもった若者たちが、当該制度を足掛かりに、世界へ大きく羽ばたけるよう今後も引き続き全力で支援を行ってまいります。

gumiは今後もブロックチェーン事業のなかで、Web3領域への投資やコンテンツ開発を進めつつ、「ウェブスタ」をはじめとした積極的な支援を通じて、Web3産業全体の発展に貢献して参りますので、gumiのWeb3にかける熱い想いに共感いただける方は是非採用応募の門をたたいてください!